釜石市箱崎地区の復興まちづくり
岩手県釜石市箱崎地区の復興まちづくりの経過報報告 箱崎地区は戸数240戸、漁業を中心とした沿岸の小集落です。東日本大震災では全240戸のうち、180戸が全半壊するなど、甚大な被害を受けました。箱崎地区のまちづくりにどのような協力ができるか。このブログはその過程を追ったものです。箱崎でのまちづくり案は、他の沿岸小集落でも応用可能だと考えています。
2012年6月14日木曜日
2012年1月20日金曜日
朝日新聞「私の視点」2012年1月19日
朝日新聞「私の視点」(2012年1月19日朝刊)に、高橋博之氏(前岩手県議)と竹沢が執筆した論考が掲載されました。岩手の復興まちづくりに関する論考です。
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2011年12月7日水曜日
釜石市箱崎半島で実施したまちづくりのあゆみ
(赤字クリックで詳細)
〇釜石市箱崎町でのまちづくりの実施過程
〇その他の地区でのまちづくりの実施過程
〇釜石市箱崎町でのまちづくりの実施過程
日付 | 内容 |
2011年 6月 | 岩手県大槌町で、住民有志によるまちづくりに協力。6回の会合を持ち、そのあとまちづくり案を提示。 |
2011年 9月26日 | NPO法人遠野まごころネットのミーティングに参加。釜石市箱崎地区でボランティアを行っている箱崎隊長の船田氏より、箱崎地区の町内会長がまちづくりのためのアドヴァイザーを求めていることを聞く。 |
2011年 9月29日 | 箱崎地区町内会長の小林氏と会い、箱崎地区のまちづくりについてのこれまでの経過の説明を受ける。 |
2011年10月 2日 | 釜石市による箱崎地区のまちづくり案の第1回説明会の実施(約百名参加)。そのあと、住民との話し合い。 |
2011年10月 2日 | 釜石市による説明会の後、箱崎復興まちづくり実行委員会のメンバーと竹沢との懇談。住民の要望を聞き、まとめる。 |
2011年10月11日 | 箱崎復興まちづくり実行委員会のメンバーとの懇談。住民の要望をまとめる。 |
2011年10月中旬 | 箱崎地区を歩きまわりながら、まちづくり案を作成(以下、竹沢案)。それに当たっては、以下のことを念頭に置いた。①住宅の建設が一刻も早く可能になるように高台移転を優先。②沿岸部の小集落に適したまちづくり案を考案すること。③海を見ながら暮らしてきた漁民文化を継承すること。④海岸に巨大な防潮堤を建設することで景観を破壊するのを防止すること。 |
2011年10月29日 | 釜石市による、第2回のまちづくり説明会の実施。 |
2011年11月 6日 | 箱崎復興まちづくり委員会の第2回会合。委員に対して竹沢案を説明し、討議。基本的に承認される。 |
2011年11月 7日 | 釜石市に対して、竹沢案を提示したのち討議。この案を基に、市としてより精緻な案を策定することを約束する。 |
2011年11月17日 | 箱崎の全住民を対象にしたまちづくり案の説明会を2回に分けて実施(約90名出席)。反対意見はあったが、竹沢案を修正しながらまちづくりを実行することを確認。 |
〇その他の地区でのまちづくりの実施過程
日付 | 内容 |
2011年10月 4日 | 白浜地区町内会長との話し合い |
2011年10月13日 | 根浜地区町内会長との話し合い |
2011年11月 8日 | 白浜地区町内会長との話し合い |
2011年11月10日 | 桑の浜地区のキイパーソンとの話し合い |
2011年12月2日金曜日
釜石市との話し合い
2011年11月7日
事務局長がアンケート結果を説明し、箱崎町復興まちづくり実行委員会で承認された竹沢案を説明した後、市からの意見。
○防潮堤を整備するのは県。高台移転と道路の建設は市。県には予算が付いているが、その枠を市が自由に使えるかどうかは、今のところ不明。第三次補正予算の動きを見守っているところ。
○高い防潮堤を作らないとすると、第2防潮堤の下の土地は、今回の浸水区域であり、居住不可能地域ということで、国の買い上げの対象となる。その買い上げ代金で、復興住宅の購入資金に充当することができる。
○復興住宅は1ケ所で良いのか、それとも地区ごとに3ケ所必要なのか。1ケ所で済むとありがたい。
⇒老人健康施設や、保育所をその近くに建設してもらえるなら、1ケ所でという話が出てくるだろう。復興住宅は、入居者の多くが高齢者と思われるので、できれば平屋、せいぜい2階建てにしてほしい。
○釜石に21浜ある。全部で予算が2000億ぐらい。とすると、1浜で100億というのがめどか。
○風力発電については、鳥類保護と国立公園の問題がある。調査におそらく5年はかかる。また、送電線をだれが作るのかという話がある(のでむずかしい)。
○低地の3分の1が農地、3分の1が公園やグランド、3分の1が漁協関係の土地という案は、今後の経済発展のためにはありがたい。
○10mの高さの土地に4,5mの防潮堤だと、今回の津波では2mほど浸水する恐れがある。それで住民はよいのか。
⇒もし津波が来たら、裏の高台に逃げることを徹底しておく。今回の案は、避難場所に近い点にメリットがある。また、もしここに8m高の防潮堤を作れば、完全に守ることができる。しかし、そうなると盛り土が7m高になり、建設に時間と費用がかかり非現実的。
○下の土地は、将来的に建物が建設できなくなる。そのことを地権者は承諾しているのか。
⇒まだそこまでの話し合いは進んでいない。
○こういうぐあいに具体的に提案してもらい、住民の意見をまとめてもらえると、市としてはありがたい。市としてもこれをもとに、具体的な絵を描いていきたい。
○それに際しては、海岸の防潮堤ではなく、内陸の防潮堤だと、どれくらいの浸水が予想されるのか。全体として費用はいくらかかるのかなど、シミュレーションをしていきたい。
○住民に対して、今回の案を最終案として提示するのではなく、叩き台の案として提示して話し合ってもらいたい。
第2回箱崎復興まちづくり委員会
2011年11月6日
参加者:小林町内会長ほか、計12名事務局長がこれまでの経過とアンケート結果を説明し、竹沢が竹沢案を説明した後、話し合い。
○この案は吉浜と似ていて、良い。あそこは高台に道路があって、住宅はその上。今回も、被災したのは3軒だけ。
○この案で住宅用地が確保できるのなら、この案を基に復興計画を考えたらよい。
○防潮堤をどうするのか。沿岸に防潮堤を作るのと、高台に防潮堤を作るのとで、同じ効果が出るのかの検証が必要。
○道路に関しては、尾根伝いの道路を要求すべき。その道路ができれば、桑の浜や仮宿にも降りていける。
○道路を早く作ってもらいたい。市には海岸沿いの高台に作る計画があるようだから、それを早く作ってもらって、尾根伝いの道路はその後で要求したらよい。
○特区の制度があるのだから、それを活かして、他の町にはできないようなまちづくりをしてほしい。
○復興計画を建てるには、市との話し合いが必要。
⇒近いうちに、市との話し合いをもつ予定(翌日実施)。
○実行委員会との話し合いだけでなく、住民全体との話し合いが必要。できれば、地区別に話し合いをもってほしい。
⇒地区住民との話し合いは、別に持つ予定(11月17日に実施)。
○どれだけの住民が戻ってくるのか、アンケートが必要ではないか。
⇒そのアンケートは事務局ではできない。市がすべき。
箱崎町復興まちづくり実行委員会のメンバーと竹沢の懇談
2011年10月11日
参加者:小林町内会長ほか計4名
○道路が一番大事である。夜でも救急車が来られるような道路を確保しなくては、住民は安心して生活できない。
○白浜、桑の浜、根浜、鵜住居の協力、話し合いが大切。
○風力発電所をという話があるが、箱崎半島は風力発電にはなじまない。風力や風向きが一定していないため。
○釜石鉱山の坑道に原子力の廃棄物を入れるという話が昔あった(20年ほど前のこと)。しかし、坑道が根浜まで続いている。万一のことがあると、大槌湾がだめになるといって断った。
○片岸から根浜へとまっすぐ結ぶ道路を作るという案があった。その下は防潮堤になる。
○庵寺から白浜へと続く道路を作るとすると、梨の木峠のところが傾斜がきつい。箱崎側は○さんの土地、白浜側は10人の共有林。
⇒道路に関しては、尾根伝いの道路と沿岸部の高台を通る道路の、2案を併記する。
○高台移転を優先させるとして、桑の浜へ行く道の横の土地は日が入らない。
○西山の上の方や、大家の土地はよい。
○復興住宅を、上前と横瀬前に1つずつ建ててほしいという要望があるが、県は2つは作らないといっている。
箱崎町での釜石市による第3回復興説明会
2011年10月2日
住民:99名出席
市側:釜石市復興推進プロジェクトチーム、鵜住居生活支援センター
市の提案(2点)
1.防潮堤の高さは、大槌湾では14.5mと県が決定した。今回のレベルの津波だとこれを越えるので、陸側に3mの道路を作る。り、防潮堤と道路のあいだには住居を建てない。
2.防潮堤と道路のあいだには住居を建てず、道路の内側(陸側)に住居を建設する。もしこの案が受け入れられたなら、防潮堤や道路の位置の決定に入り、用地買収を開始する。
質疑(○住民の質問や意見、▲市の回答)
○箱崎半島の先端に風力発電所を作り、そこまでまっすぐに道路を建設できないか。そこから、箱崎や白浜、桑の浜に降りていけばよい。
▲この案を検討したが、300億かかる。
○昨日(10月1日)、国会で高台移転を考えるべきだと大臣が言っていた。
▲今日は県から14,5mという案が出たので、それをもとにプランを作ってきた。住民の大勢が高台に移転するというなら、それに従う。
▲高台移転の場合、一軒当たり4000万かかるといわれるが、国が出すのは1600万まで。差額をどうするか。しかも、釜石、両石は土地がないので堤防を作らなくてはならない。
○道路より陸側の土地は、盛り土をするのか。
▲しない。したとしても、最大2mまで。それ以上すると、住めるのは4,5年あと。
○根浜から来る道路は、すぐに水をかぶる。スクールバスも通れない。5月の説明会のときには、来週から取り掛かるといっていたが、さらに延びて、今の予定は12月だという。
▲予想以上に道路が陥没していたので遅れた。
▲山を越える道路を整備したほうが、多分安上がり。今、検討している。
○道路が先か、堤防が先か。まず水がかぶらないように道路を直してもらわないと、住民は安心して戻ってこれない。
○防潮堤と道路が完成するまで、箱崎の浸水地域では住宅の建設はできないのか。
▲そういうわけではなく、建てることは可能。
○低い所の土地を買い上げてもらって、高台に公営住宅を作ってもらいたい。
▲今のところ、そういうことができるような制度がない。
▲公営住宅を、県が5000戸作り、うち釜石市に750戸つくる。
○高い堤防を作っても、万里の長城と言われた田老では崩れた。堤防はワンクッションでしかないと認識すべき。
▲今日はあくまで一つの案をもってきた。
○海に向かって左側の堤防が第一波で壊れた。第一波のときには、右側の土地が水をかぶっただけ。第2波以降、地区全体に水をかぶった。堤防の設計は、実際に土地を見ながら、行わなくてはならない
○2年後にどうするという話ではなく、今すぐ何をできるかをいってほしい。
▲今日はあくまで一つの案をもってきた。今から検討したい。
○高齢者と乳幼児が一緒にケアできる施設が欲しい。そうすれば、箱崎だけでなく、白浜も鵜住居も、みんなが箱崎に預けるようになる。
▲県の公営住宅は、時間を早くするために住宅だけ(複合施設だと、設計に半年、建設に1年半かかる)。市の方は、そういう施設を作ることができる。要は住民の意見が大事。
箱崎町復興まちづくり実行委員会のメンバーと竹沢の懇談(2011年10月2日)
参加者:小林町内会長ほか、計8名
○道路が一番大事。水をかぶらない道路がつくられないと、外に出て行った人は戻ってこない。
○現在は、台風や大潮のときにすぐ水をかぶる。するとスクールバスもこれなくて、休みになってしまう。
○恋ノ峠から、まっすぐに岬の先端まで道路をつけ、そこから道を箱崎、白浜、桑の浜に降ろしたらよい。岬の先端に風力発電をつければ、道をつけてくれるのではないか。
○岬は風があるので、風力発電には適している。
○小中学校が鵜住居から、栗林にもって行かれそうになっている。栗林ではそれを見越して、土地を提供するといっている。もしそうなったら、箱崎には子どもが住まなくなる。恋ノ峠の土地を削って、そこに学校を建てたらよい。
○釜石市の方は、箱崎をモデル地区として整備したいようだ。意見をまとめれば、通りやすい状況がある。
○本当に2年で堤防ができるかどうか。堤防は時間がかかって良いから、しっかり作ってもらいたい。まず住宅を整備する、という考えがあってもよい。
○高台に復興住宅を作るとしても、4階建てだと高齢者が困る。1,2階に高齢者、3,4貝に若い人だとよいが、1,2階に介護施設や幼稚園ができると高齢者が上の階に行かざるを得ない。
○西山(西側の土地)は比較的なだらか。昔は畑だったところに、リンゴを植えた。小学校の敷地の倍はある。ここにひな段式に整地して、住宅を建てればよい。。
○45号線から来る道路が、この土地の横を通ると、大変便利がよくなる。
○道路にしても施設にしても、白浜や桑の浜と連携をとって案を出すのが大事。
○東大の先生とともに、箱崎半島の復興を考える話し合いを5月からやっている。ただ忙しくて、1月に1回しか来られない。各漁協長などが参加している。
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